ダイヤフラム式キャブレター
ダイヤフラム式キャブレターの分解掃除の仕方です。
1. バルブ・アッセンブリ・スロットル / 2. ボディ・アッセンブリ・キャブレータ / 3. ポンプ・ガスケット(上)、ダイヤフラム・ポンプ(下) / 4. 燃料戻り口 / 5. 燃料吸込口 / 6. プライマリ・ポンプ / 7. ボディ・アッセンブリ・エア・パージ / 8. メタリング・ダイヤフラム・ガスケット(上)、ダイヤフラム・メタリング(下) / 9. ボディ・アッセンブリ・ポンプ / 10. ベンチュリ / 11. スクイーズ・パッキン / 12. アクセル・ワイヤ調整取付ボルト / 13. スロー調整ネジ
1. バルブ・アッセンブリ・スロットル / 12. アクセル・ワイヤ調整取付ボルト / 13. スロー調整ネジ / 15. スクリュ 3×10 / 16. アクセル・ワイヤ引掛け部(スイベル) / 17. スロットル・バルブ芯弁調整ネジ
1 のバルブ・アッセンブリ・スロットルは、横穴の開いた円柱形の吸入抵抗弁( 23 のスロットル・バルブ)と、その弁の中心に芯弁( 24 のスロットル・バルブ芯弁)を設けたもので、円柱形の吸入抵抗弁の開度が変わると、横穴からは空気の吸い込み量、芯弁からは燃料の噴射量が変わります。
1. バルブ・アッセンブリ・スロットル / 2. ボディ・アッセンブリ・キャブレータ / 13. スロー調整ネジ / 15. スクリュ 3×10 / 23. スロットル(ロータリ)・バルブ / 25. メイン・ノズル
15 のネジを2本外して、 1 のバルブ・アッセンブリ・スロットルを外します。
奥側の 15 のネジを外す時、プラス・ドライバの刃先と 1 のバルブ・アッセンブリ・スロットルのレバー部が少し干渉する場合があります。
その場合は、レバー部が干渉しなくなるまで 13 のスロー調整ネジを緩めます。
ここでは 1 のバルブ・アッセンブリ・スロットルを外していますが、実際のキャブレータ掃除では、これをを外さなくても良い場合が多くあります。
理由は、 24 のスロットル・バルブ芯弁(芯棒)が収まる 25 のメイン・ノズルがあまり詰まらない事と、外さなくてもキャブレータ・クリーナを吹き付ける事が出来るためです。
1. バルブ・アッセンブリ・スロットル / 23. スロットル(ロータリ)・バルブ / 24. スロットル・バルブ芯弁
23 のスロットル・バルブと、その中心に設けられている 24 のスロットル・バルブ芯弁に、キャブレータ・クリーナを吹き付けてきれいにします。
1 のバルブ・アッセンブリ・スロットルを外さずして掃除する場合は、 26 のメイン・ジェットからキャブレータ・クリーナを吹き付け、 23 のスロットル・バルブ内からクリーナ液がしっかり出てくる事を確認します。
1 のバルブ・アッセンブリ・スロットルを 2 のボディ・アッセンブリ・キャブレータに組み付けた時は、 23 のスロットル・バルブが吸気通路でスムーズに回る事を確認します。
2. ボディ・アッセンブリ・キャブレータ / 10. ベンチュリ / 25. メイン・ノズル
25 のメイン・ノズルは主噴射口で、燃料貯留部にある燃料は 26 のメイン・ジェットを通って、 23 のスロットル・バルブ内で吸い出され、吸気口から吸い込まれてくる空気と 23 のスロットル・バルブ内でで混ざり、燃料と空気の混合ガスとしてエンジン燃焼室に吸い込まれて(送られて)いきます。
そのため、 26 のメイン・ジェットを含む 15 のメイン・ノズルが詰まると吹け上がらなくなります。
また、 25 のメイン・ノズルは樹脂なので、細い針金を通すやり方はノズル内を傷付ける恐れがあるためお勧めしません。
4. 燃料戻り口 / 5. 燃料吸込口 / 6. プライマリ・ポンプ / 14. スクリュ 3×23
6 のプライマリ・ポンプは、エンジンを始動できる状態にするため、燃料タンクから 5 の燃料吸込口を経由して、燃料貯留部に手動で燃料を送るためのポンプです。
ダイヤフラム式キャブレータの特徴の1つで、エンジン始動前に 6 のプライマリ・ポンプを5~10回程押して、キャブレータの燃料貯留部に燃料を溜めておく必要があります。
燃料が一定量溜まったら、 6 のプライマリ・ポンプを何回押しても、余分な燃料は 4 の燃料戻り口を経由して燃料タンクに戻るようになっています。
そのため、 6 のプライマリ・ポンプが破れると燃料は漏れるだけでなく、吸わせる事も出来なくなります。
6. プライマリ・ポンプ / 7. ボディ・アッセンブリ・エア・パージ / 14. スクリュ 3×23 / 27. チェック・バルブ
14 のネジを4本外して、 6 のプライマリ・ポンプを押さえ板ごと外します。
7 のボディ・アッセンブリ・エア・パージは、中央に 27 のチェック・バルブを設けていて、圧縮空気の吸排制御を行う役割があり、 6 のプライマリ・ポンプを押した時と離した時に出来る空気の流れを、一方通行にする仕組みになっています。
6 のプライマリ・ポンプを押すと、正圧によって 27 のチェック・バルブ中心穴が開き、 S 穴から P 穴、燃料戻り口、そして燃料タンクへ正圧がかかります。
逆に、 6 のプライマリ・ポンプが元に戻るときは、負圧によって 27 のチェック・バルブを持ち上げようとするので、 27 のチェック・バルブ外周面は開き、 T 穴から O 穴、そして 9 のボディ・アッセンブリ・ポンプの E 穴に負圧がかかります。
繰り返し何回か押すと、開いた 19 のニードル・バルブから 9 のボディ・アッセンブリ・ポンプの各穴(燃料経路)を経由して、そのまま燃料タンクまで負圧がかかるため燃料が吸い上がってきます。
7. ボディ・アッセンブリ・エア・パージ / 8. ダイヤフラム・メタリング
7 のボディ・アッセンブリ・エア・パージを外すと 8 のダイヤフラム・メタリングの裏側が見えます。
8 のダイヤフラム・メタリングを外す前に、もう少し 7 のボディ・アッセンブリ・エア・パージについて説明します。
Q の穴は、下側の面の R の穴と繋がっていて、ダイヤフラム・メタリングの内圧を外(大気側)に逃がします。
ボディ・アッセンブリ・エア・パージの各穴は、 27 のチェック・バルブが付いたまま掃除出来ます。
キャブレータ・クリーナのノズル先を、 27 のチェック・バルブ中心( S の穴)に挿したまま吹き付け、上面の P の穴からクリーナ液が出てこればOKです。
そして、指でチェック・バルブの端を少し持ち上げ、そこに出来た隙間( T の穴)にキャブレータ・クリーナを吹き付け、上面の O の穴からクリーナ液が出てこればOKです。
説明のために 27 のチェック・バルブを外していますが、無理に外すと根元が破れる恐れがあるので、敢えて外さないほうが良いと思います。
27 のチェック・バルブの根元の部分(中心部)が S の穴に取り付き、 27 のチェック・バルブの外周面が T の穴を塞いでいます。
8. ダイヤフラム・メタリング / 9. ボディ・アッセンブリ・ポンプ / 19. ニードル・バルブ / 22. メタリング・レバー
8 のダイヤフラム・メタリングは、弾性のあるダイヤフラム膜に薄い金属板を取り付けたもので、 22 のメタリング・レバーを介して 19 のニードル・バルブを作動させ、フロート式のニードル・バルブと同じように燃料の供給を制御しています。
そのため、 8 のダイヤフラム・メタリングが硬化すると弾性力を失うため、 19 のニードル・バルブを作動させる事が出来ません。
これは、ガスケットと 9 のボディ・アッセンブリ・ポンプとの間にカッタを入れて、慎重に剥がすしかありません。
上写真のように、 8 のダイヤフラム・メタリングにガスケットが付いた状態になるはずです。
このようにガスケットが付いていますが、 8 のダイヤフラム・メタリングから無理に剥がす必要はありません。
3. ダイヤフラム・ポンプ / 9. ボディ・アッセンブリ・ポンプ
7 のボディ・アッセンブリ・エア・パージと同じようにこべり付いているので、 プライヤで掴んで外します。
先に 3 のダイヤフラム・ポンプについて説明します。
2. ボディ・アッセンブリ・キャブレータ / 3. ダイヤフラム・ポンプ / 26. メイン・ジェット / 28. バルブ
3 のダイヤフラム・ポンプ( 28 のバルブも含む)を外します。
インシュレータを経由して、 A の穴に吸入負圧がかかり 3 のダイヤフラム・ポンプが引っ張られると、燃料吸入ホースを経由して燃料タンク内にも吸入負圧がかかり、燃料が吸い上げられます。
インシュレータを経由して、 A の穴に吐出正圧がかかり 3 のダイヤフラム・ポンプが押されると、 19 のニードル・バルブを押してタイミング良く燃料を燃料貯留部に送り、油面を上げて燃料を吸い上げ易くしています。
そのため、 3 のダイヤフラム・ポンプが硬化すると燃料の供給が十分に出来なくなります。
3 のダイヤフラム・ポンプ膜にある 28 の2つのバルブ(逆止弁)は、 9 のボディ・アッセンブリ・ポンプの燃料経路の途中で、ポンプ作動時に液だれを防ぎ、燃料がすぐに燃料タンクに戻らないようになっています。
そのため、 28 のバルブが硬化すると燃料の吸い込みが悪くなりますが、殆どの場合、その前にポンプ部(台形の部分)のほうが先に硬化します。
このように、 8 のダイヤフラム・メタリングと 3 のダイヤフラム・ポンプの2枚のダイヤフラム膜は、 6 のプライマリ・ポンプを押して始動前に燃料を吸わせる時と、クランキングしてエンジンを始動させる時、そして運転中においてとても重要な役割を果たしています。
3 のダイヤフラム・ポンプにもガスケットが付いていますが、 8 のダイヤフラム・メタリング同様に、分解歴のない年数が経過したキャブレータの場合、大抵はこべり付いていて簡単には外せません。
ガスケットと 2 のボディ・アッセンブリ・キャブレータとの間にカッタを入れて、慎重に剥がすしかありません。
上写真のように、 3 のダイヤフラム・ポンプにガスケットが付いた状態になる(分かり難いです)はずです。
しかし、 3 のダイヤフラム・ポンプの硬化がなければ、必ずしも外さなければいけない訳ではありません。
2 のボディ・アッセンブリ・キャブレータのポンプ部(台形の部分)と 26 のメイン・ジェット、 25 のメイン・ノズルは、 3 のダイヤフラム・ポンプを外さなくてもキャブレータ・クリーナで掃除出来るからです。
前項で 25 のメイン・ノズルの説明をしましたが、 その 25 のメイン・ノズルと穴が繋がっているのが 26 のメイン・ジェットです。
左写真のように、 26 のメイン・ジェットは精密ドライバで外す事が出来きますが、その場合、小さなOリングが付いているので無くさないようにします。
26 のメイン・ジェットの穴にキャブレータ・クリーナを吹き付け、 25 のメイン・ノズルの穴からクリーナ液が出てこれば穴は通っているという事です。
2. ボディ・アッセンブリ・キャブレータ / 25. メイン・ノズル
B の穴は A の穴に繋がっているパルス穴で、クランクケース内でピストンが上下する時に発生する脈動圧を、 インシュレータを経由して 3 のダイヤフラム・ポンプに伝える穴です。
さらにピストンが上がり上死点に近づくと吸気孔が開くので、吸気通路( 23 のスロットル・バルブと 25 のメイン・ノズル)に吸入負圧がかかりますが、パルス穴より吸気孔のほうが穴面積が大きいため、すぐに B のパルス穴にかかっていた吸入負圧は無くなります。
吸気孔が塞がると同時にパルス穴に吐出正圧がかかりますが、さらにピストンが下がり下死点に近づくとパルス穴も塞がるので、 B のパルス穴にかかっていた吐出正圧は無くなります。
そのため、 B のパルス穴が詰まって穴の通りが悪くなると、 3 のダイヤフラム・ポンプに脈動圧力が正しく伝わらないので、エンジンが吹け上がらなくなる等の症状になります。
9. ボディ・アッセンブリ・ポンプ / 18. スクリュ・メタリング・レバー・ピン / 19. ニードル・バルブ / 20. メタリング・レバー・スプリング / 21. メタリング・レバー・ピン / 22. メタリング・レバー
2サイクル・エンジンにおいて、ピストンが上がり上死点に近づく時に発生する吸入負圧は、 23 のスロットル・バルブ内の 25 のメイン・ノズルにかかるので、 29 のバルブが持ち上がり、 D の穴に隙間が生まれます。
そして、燃料貯留部から燃料が吸い上げられ、 25 のメイン・ノズルから吸い出された燃料は 23 のスロットル・バルブ内で空気と混ざり、混合ガスとしてシリンダ燃焼室へ送られます。
27 のチェック・バルブが逆止弁の役割を果たしているので、燃料貯留部から燃料が吸い上げられると同時に 8 のダイヤフラム・メタリングも上側に持ち上げられ(吸い上げられ)、 22 のメタリング・レバーを押し上げ 19 のニードル・バルブが開き、燃料が吸い上げられ燃料貯留部に送られます。
ピストンが上死点から下がり始めると 25 のメイン・ノズルに吸入負圧がかからなくなるので、 8 のダイヤフラム・メタリングは下がり、 20 のメタリング・レバー・スプリングの力で 19 のニードル・バルブが閉じて燃料供給が止まるのですが、すぐに 3 のダイヤフラム・ポンプで吸い上げられた燃料は、 19 のニードル・バルブを押し上げて(閉じる前かも分かりません)燃料貯留部に送られ、油面を上げて次の吸入負圧発生時の燃料の吸い上げに備えます。
つまり、エンジンが始動したら、吸入負圧に合わせて 8 のダイヤフラム・メタリングは上下し燃料を吸い出すのだが、同時に 3 のダイヤフラム・ポンプの振動(脈動)圧力により、十分な燃料供給が継続する仕組みになっています。
4. 燃料戻り口 / 5. 燃料吸込口 / 18. スクリュ・メタリング・レバー・ピン / 19. ニードル・バルブ / 20. メタリング・レバー・スプリング / 21. メタリング・レバー・ピン / 22. メタリング・レバー
プラス・ドライバを使って 18 のスクリュ・メタリング・レバー・ピンを外し、 19 のニードル・バルブを外します。
特に 20 のメタリング・レバー・スプリングに気を付けます。
ここでは 19 のニードル・バルブを外していますが、全体的に見て特に汚れが酷くなければ、外さずして掃除すれば良いと思います。
22 のメタリング・レバーを指で押さえて 19 のニードル・バルブを開き、 M の穴からキャブレータ・クリーナを吹き付けて、 19 のニードル・バルブ回りからクリーナ液が出てくる事を確認します。
また、 22 のメタリング・レバーを指で何回か押して、 19 のニードル・バルブが素早く上下する事を確認します。
19 のニードル・バルブの動きが悪かったり、バルブ・シート面( 19 のニードル・バルブ先端の円錐部が収まる箇所)にゴミが付着したりすると、 6 のプライマリ・ポンプを押して燃料を吸い込んだ時に燃料がオーバ・フローします。
D の穴には、 29 の薄くて丸い小さなバルブが入っていますが、 6 のプライマリ・ポンプを押して燃料を吸わせる時は、 29 のバルブが D の穴を閉じる事によって、燃料貯留部に負圧がかかるようになっています。
また、エンジン始動(運転)時には、 29 のバルブが D の穴を開く事によって、燃料貯留部に負圧がかかるようになっています。
そのため、 D の穴にある 29 のバルブ回りにゴミが付着すると、燃料貯留部に十分な負圧をかける事が出来なくなり、燃料の吸い込みが悪くなります。
D の穴からキャブレータ・クリーナを吹き付け、 29 のバルブ回りからクリーナ液が出てくる事を確認します。
9. ボディ・アッセンブリ・ポンプ / 29. バルブ / 30. インレット・スクリーン
5 の燃料吸込口から吸われた燃料は、 30 のインレット・スクリーン(フィルタ)でゴミを除去し、 G、H、I、J、K、L、M の順に通り、下面にある 19 のニードル・バルブを介して燃料貯留部まで送られます。
J と K の間にあるのがポンプ室です。
そのため、 30 のインレット・スクリーンがゴミなどで詰まると燃料の吸い込みが悪くなるので、 6 プライマリ・ポンプを押しても凹んだ状態からの戻りが悪くなったり、エンジンはかかるけど吹け上がらないなどの症状になります。
キャブレータ・クリーナを使い、 5 の燃料吸込口と 30 のインレット・スクリーンまでをきれいに掃除します。
また、 30 のインレット・スクリーンは、コンプレッサでエア吹きすると飛んでいってしまうので注意します。
左回し →芯弁上がる→燃料が濃くなる→灰色の排気ガスが出る(混合ガソリン) かぶり気味になる。高速回転で失速する、またはエンストする。低速で徐々に不安定になりエンストする。 右回し →芯弁下がる→燃料が薄くなる アイドリング回転位置でエンストする。低速位置が中~高速回転になる、またはエンストする。
このタイプは、 17 のスロットル・バルブ芯弁調整ネジが低速用の燃料調整ネジ(アジャスト・スクリュ)となります。
低速用燃料調整ネジ(標準位置は全閉より1回転戻し) 左回し(開) →燃料が濃くなる。
右回し(閉) →燃料が薄くなる。 高速用燃料調整ネジ 左回し(開) →燃料が濃くなる。