重症筋無力症の症状と特徴的な筋力低下の出現
重症筋無力症の症状と特徴的な筋力低下の出現

重症筋無力症の症状と特徴的な筋力低下の出現

重症筋無力症は神経筋接合部の自己免疫疾患で、特徴的な筋力低下と易疲労性を引き起こします。眼症状から始まり全身に広がることも多いこの疾患について、どのような症状に注意すべきでしょうか?

重症筋無力症(Myasthenia Gravis: MG)は、神経筋接合部における自己免疫疾患です。この疾患では、神経から筋肉への信号伝達が障害されることで、特徴的な筋力低下と易疲労性が引き起こされます。2018年の全国疫学調査によると、日本における患者数は約29,210人で、人口10万人あたりの有病率は23.1人とされています。2006年の調査時の15,100人と比較すると、この10年間で患者数は約2倍に増加していることが分かります。

重症筋無力症の眼症状と特徴的な視覚障害
  • 眼瞼下垂(がんけんかすい):まぶたが垂れ下がる症状で、片側または両側に現れます。特に疲れると悪化し、休息すると改善する傾向があります。
  • 複視(ふくし):物が二重に見える症状で、眼球を動かす筋肉(外眼筋)の筋力低下によって起こります。
  • 日内変動:朝は比較的症状が軽く、夕方から夜にかけて症状が悪化する特徴があります。
  • 疲労による悪化:長時間の読書やテレビ視聴、運転などで症状が悪化します。
重症筋無力症の四肢症状と日常生活への影響
  • 近位筋優位の筋力低下:肩や腰の周りの筋肉など、体の中心に近い筋肉(近位筋)から筋力低下が現れることが多く、手足の先端よりも腕や太ももの筋力低下が目立ちます。
  • 易疲労性:同じ動作を繰り返すと急速に筋力が低下する特徴があります。
  • 日常生活動作の障害:髪を洗う、歯を磨く、階段を上る、長時間歩くなどの動作が困難になります。
  1. お風呂で髪を洗っていると腕がだるくなる
  2. 歯磨きをしていると腕が上がらなくなる
  3. 雑巾がけなどの家事で腕がだるくなる
  4. 階段を続けて上れない
  5. 長時間歩くと脚がもつれる
重症筋無力症の球症状と嚥下・発声障害
  • 嚥下障害:食べ物や飲み物を飲み込むことが困難になります。特に固形物や水分の摂取時にむせやすくなったり、鼻への逆流が起こることがあります。
  • 構音障害:発音が不明瞭になり、特に会話が長くなるとろれつが回らなくなることがあります。
  • 声の変化:声が弱くなったり、鼻声になったりします。長く話すと声質が変化することもあります。
  • 咀嚼障害:硬いものを噛み続けるとあごが疲れてきて、食事に時間がかかるようになります。
重症筋無力症のクリーゼと呼吸筋障害の危険性
  1. 筋無力症クリーゼ:重症筋無力症の症状が悪化して呼吸筋の筋力低下が進行し、呼吸不全に至る状態です。感染症、手術、精神的ストレス、妊娠・出産、薬剤の変更などがきっかけとなることがあります。
  2. コリン作動性クリーゼ:抗コリンエステラーゼ薬(治療薬)の過剰投与によって起こる状態で、筋力低下に加えて、発汗、流涎、腹痛、下痢などの副交感神経刺激症状を伴います。
  • 呼吸が浅く速くなる
  • 会話中に息切れがする
  • 横になると息苦しさを感じる
  • 痰や分泌物を上手く出せない
  • 声が弱くなる
重症筋無力症の症状と加齢による変化の関連性
  • 若年発症(40歳未満)
    • 女性に多い傾向
    • 眼症状から始まることが多い
    • 胸腺過形成の合併が多い
    • 抗AChR抗体陽性率が高い
    • 全身型への進展が比較的早い
    • 男性の比率が増加
    • 球症状や呼吸筋症状が初発となることも多い
    • 胸腺腫の合併率が高い
    • 症状の進行が比較的急速なことがある
    • 併存疾患の影響で治療が複雑化することがある