ドヴォルザーク 交響曲第9番『新世界より』
アントニン・ドヴォルザーク(Antonin Dvorak, 1841~1904)作曲の交響曲第9番 ホ短調 OP.95『新世界より』の解説とおすすめの名盤をレビューしていきます。 ドヴォルザークの新世界交響曲といえば、第 …
クーベリックはチェコから亡命してきた指揮者 です。昔のチェコフィルとの映像も残っていますが、凄い名演で将来を嘱望されていたのではないかと思います。しかし、亡命して以降はアメリカや隣の西ドイツで活躍することになります。 ドヴォルザークの『新世界より』は、情熱的という意味では敵う演奏はありません。 ベルリンフィル以外の演奏もありますが、どのオケであってもシャープで感情的な演奏を繰り広げています。特にバイエルン放送交響楽団とは長い期間関係が続き、名演奏が沢山あります。
ベルリン・フィルとは全集を作っていて、録音年代は少し古めですが、演奏はとても素晴らしいです。第1楽章は最初の弦がピアニシモで入った瞬間にクーベリックの新世界に引き込まれてしまいます。その後も 情熱的で力のこもった演奏 で、最初のほうで既に感動してしまいます。 第2楽章も情熱のこもった美しい演奏 で、コールアングレも素晴らしいですが、ベルフィン・フィルの高弦の響きの美しさが印象的です。録音は少し古めですが、聴きにくい音質ではないです。
第3楽章、第4楽章は、非常に情熱的でダイナミックです。ダイナミックという言葉にするしかないですが、 クーベリックとベルリン・フィルは他の演奏に比べても格が違います 。爆演と書いてもいい位かも知れません。感情が強く入っているのですごく共感も誘いますし、でも別にネガティブな感情ではなく、聴いた後の充実感は素晴らしいです。
小澤征爾=ウィーン・フィル (1991年) ウィーン・フィルの自然な音楽と小澤の精緻さが見事にブレンドした名演指揮 小澤征爾 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
小澤征爾はウィーン・フィルといくつか録音を残していますが、 『新世界より』は名演といえる演奏 です。
第1楽章から熱のこもった演奏が繰り広げられます。 ただ情熱的に押し切るのではなく、とても理知的な所もあります。 アンサンブルはウィーンフィルとしてはしっかりしていて、音楽も整理されています。その上で情熱的な演奏を繰り広げています。なお、提示部の繰り返しがあります。 第2楽章は味わいのある名演 です。わびさびを感じますね。ウィーンフィルの持つ民族的なサウンドを活かして、少し影のある表現で、味わい深くじっくり歌いこんでいます。
第3楽章は速めのテンポで進みますが、小澤征爾らしくアンサンブルを正確にまとめています。中間部はウィーンフィルの響きを活かして、民族的な世界を作り上げています。 第4楽章はエネルギッシュに始まり、有名なテーマを提示します。 ダイナミックで情熱的な演奏になっていきます。
チェコの演奏家とは違う演奏ですが、中欧の自然や民族性を感じる演奏です。カラヤンのような神々しさはなく、等身大のウィーン・フィルらしい音楽を引き出し、それと小澤征爾の精緻な音楽をブレンドさせたような自然な名演です。
ドヴォルザーク・イン・プラハ(小澤,ヨーヨー・マ,他) 豪華なソリストの競演!ドヴォルザーク生誕の地での記念演奏会チェロ ヨーヨー・マ ヴァイオリン イツァーク・パールマン メゾソプラノ フレデリカ・フォン・シュターデ 合唱 プラハ・フィルハーモニー合唱団 指揮 小澤征爾 演奏 ボストン交響楽団
カラヤン=ウィーン・フィル (1985年) 円熟したカラヤンと磨き抜かれたウィーンフィルの響き指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カラヤンとウィーン・フィルのの1980年代の録音です。円熟の境地で、1970年代までのダイナミックさは影を潜め、ウィーン・フィルで非常に美しい響きを響かせています。 響きは磨き抜かれていてまさに黄金のホールに相応しい音色 です。ダイナミックな所もしっかり演奏していますが、 しなやかで艶のある響き を引き出しています。
第1楽章は落ちつたテンポで、少しスケールの大きさも感じさせます。ウィーンフィルの弦は艶やかで、ポルタメントも使いながら、滑らかな美音を響かせています。スケールが大きいこともあり、全体的に充実感のある演奏です。 第2楽章は、この演奏の白眉です。抑制された響きの中で、ソロの磨き抜かれた音色 を堪能できます。この演奏のクオリティは素晴らしく、響きの綺麗さだけではなく、感情的な要素も適度に入っています。表面だけの美しさではない超名演です。
第4楽章はダイナミックな演奏 です。トランペットも活躍し、ティンパニもしっかり鳴らしてダイナミックです。テンポも少し速めなくらいです。カラヤンの円熟のせいか、弱音のところも非常に美しく演奏していて、わざとらしさもありません。完成度がとても高いです。ダイナミックでスケールも大きいので、難しく考えなくても楽しめる演奏でもあります。
カラヤン最後の録音だけあって『新世界より』の一つの完成形だと思います。
ノイマン=チェコ・フィル (1993年ライヴ) ノイマン=チェコフィルの『新世界より』の完成形ノイマンとチェコ・フィルの『新世界より』の初演100周年記念演奏会のライヴです。とても人気のあるCDで、おそらくカラヤン盤と並んで一番売れている『新世界より』だと思います。
ノイマンのアプローチは1981年盤と大きな違いはありませんが、 特別なライヴのためか熱気があり、テンポが速めで迫力があります 。また、1972年盤では明らかに個性的な個所がありましたが、この演奏はスタンダードに近づいています。第2楽章も大らかに金管を鳴らして広々とした世界を描いて見せます。コールアングレのソロは深い味わいです。ノイマンのさらなる円熟も感じられ、憂鬱さと深みがあり、良さがすぐに分かる名演です。第4楽章は少し速めのテンポで始まります。スタンダードな音楽づくりで、『新世界より』の第4楽章の期待通りの名演奏です。
ノイマンとしては個性的な所が少ない演奏です。スタンダードな『新世界より』であり、もう百回以上演奏し、スコアの隅々まで頭に入っているであろうノイマンとしては、もうどんな表現でも出来るという余裕を感じます。もっと色々ユニークな解釈も出来るでしょうけど、あえて必要最小限にしている、という雰囲気です。
アンチェル=チェコ・フィル (1961年) アンチェル時代の機能的なチェコ・フィルの演奏指揮 カレル・アンチェル 演奏 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
アンチェルは、ノイマンの前のチェコフィルの指揮者です。 アンチェルの『新世界より』はシャープで力強い ものです。録音が1961年と古く、少しダイナミックレンジが狭い気がします。ただノイマン時代のチェコ・フィルとは違い、かなり機能的なオーケストラだったことが分かります。アンチェルは歴代チェコフィルの中でも例外的な理知的な指揮者ですね。
第1楽章は速めのテンポで、一般的な演奏に近いですね。レガートをあまり使わない所も今のチェコ・フィルと大分違うところだと思います。第2楽章も遅いテンポですが、感情に流されすぎず理知的な所を感じます。 コールアングレや木管楽器のからみはとても良い です。あまり遅くならず、自然なテンポで進んでいきます。中間部はかなりテンポが速くなります。ここは聴きどころです。
第3楽章はリズムが正確に刻まれています。第4楽章は、意外に少し遅めのテンポで出てきます。ダイナミックに盛り上がります。やはり正確なアンサンブルです。テンポの変化が少なめなので、遅い所では速めに聴こえます。最後は、シャープにダイナミックに盛り上がって終わります。
ドホナーニ=クリーヴランド管弦楽団,他 味わい深さとクオリティのベストバランス指揮 クリストフ・フォン・ドホナーニ 演奏 クリーヴランド管弦楽団
ドホナーニとクリーヴランド管弦楽団の名盤です。セルのあと第2の黄金時代です。録音は非常に良いです。ドホナーニはしなやかさがあり、情感豊かです。 奥ゆかしい秘めた情熱 ですね。そしてとてもクオリティの高い演奏で 透明感やしなやかさが前面に出ています 。クリーヴランド管弦楽団の 金管のレヴェルは高く、要所ではダイナミックな演奏 を聴かせてくれます。
第1楽章はピアニシモが透き通るような響きです。しなやかにクレッシェンドすると、 かなり情熱を秘めていて味わい深い です。品格を持って表現しています。テンポは落ち着いていますが、リズムの躍動感があります。聴いていて充実感のある演奏です。
第2楽章はこの演奏の白眉で、弱音がとても透明感があり、クオリティが高いです。そして情感が溢れていて、感動的でもあります。コールアングレのソロもレヴェルが高いです。 クオリティが高い演奏はクールになりがちですが、情感が溢れているので味わい深い ですね。このバランスが素晴らしいです。第3楽章はクリーヴランド管のシャープなリズム感が良く出ています。
第4楽章はダイナミックに始まります。テンポは少し遅めで、 丁寧でスケールが大きい です。やはり弱音が透き通っていて素晴らしく、第4楽章にもこんな聴き所があったんだなぁ、と目から鱗です。木管のレヴェルも高く、要所で金管がダイナミックな演奏を繰り広げます。ラストは品格ある終わり方です。
クオリティの高い演奏ですが、秘めた情熱や情感が溢れていて、味わい深さがあります。始めて聴く人でも満足できる名盤ですし、玄人の方は他の演奏で聴けなかった新たな発見があると思います。
ショルティ=シカゴ交響楽団 (1983年) 筋肉質でスケールの大きな名演指揮 ゲオルグ・ショルティ 演奏 シカゴ交響楽団
ショルティはハンガリー人ですが、70歳を過ぎて初めて『新世界』を録音しました。しかもオケは強力な手兵のシカゴ交響楽団です。 ショルティ=シカゴ交響楽団らしい、筋肉質でダイナミックな演奏 です。録音は良く、しっかりした音質です。
第1楽章でフォルテで弦が出てくる所で、既にダイナミックさに度肝を抜かれます。その後は、少し遅めのテンポでしっかりした演奏を繰り広げています。これぞ『新世界』の第1楽章という感じで、 ツボを心得た演奏で、充実感が高い です。考えてみるとシカゴ交響楽団はラファエル・クーベリックが指揮者だった時代があります。
第2楽章はゆっくりしたテンポで、じっくり歌っています。シカゴ響は弱音になると、とことん小さな音を出せるので、機能的に素晴らしい反面、もう少し力を抜いて余裕があると、さらに味わい深い演奏になるのにな、と思います。でも、 予想を超えて味わい深い名演 だと思います。
第3楽章は鉄壁のアンサンブルです。テンポも速すぎもせず、遅すぎもせず丁度良いテンポ設定です。第4楽章は 速めのテンポでリズミカルかつダイナミック です。重厚な響きはチェコフィルの演奏とは大分違いますが、素晴らしいです。情緒的なところは遅めのテンポで味わい深く演奏しています。
人によってはシカゴ響は少しドライかも、という先入観があるかも知れませんが、ショルティがタクトを取ると、ストレートなので聴いていて気持ちいいですね。このドライさがこのコンビの特徴で良さでもあるんです。他にここまでのレヴェルの演奏が出来るコンビはなかなか無いと思います。
マーツァル=チェコ・フィル(2003年) 鬼才マーツァル時代のチェコフィルのレヴェルの高さを堪能できる指揮 ズデニェク・マーツァル 演奏 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
マーツァルは2003年~2007年までチェコフィルの首席指揮者だった指揮者です。良い演奏がいくつか残されていますが、知名度が低いでしょうか。
第1楽章は ダイナミックで中低音が効いていて、ティンパニの強打など、筋肉質で非常に充実した演奏 が繰り広げられます。2003年録音ということもあり、音質もバランスが取れていて大変良いです。 第2楽章 はしなやかに感情を入れた味わい深い演奏 です。アンサンブルも見事でマーツァル時代のチェコフィルのレヴェルの高さが感じられます。録音の良さもあってか、コール・アングレはとても綺麗に鳴り響いています。
第3楽章は正確なアンサンブルと音の密度の高さが印象的です。非常に情熱的です。 第4楽章 は中庸のテンポでダイナミックに始まります。チェコフィルの弦の厚みと金管楽器群レヴェルの高さに驚かされます。 ノイマン時代は金管はあまり上手いとはいえないときがありましたから。弦セクションの厚みの上に情熱的な音楽を展開していきます。
この『新世界より』は、正道をまっすぐ歩んだ名演です。チェコの民族的な要素も、感情的な要素も入っていて、高い技術レヴェルで演奏されています。鬼才マーツァルによるこの演奏はチェコフィルの『新世界より』を代表する一枚だと思います。
小林研一郎=チェコ・フィル (2008年) チェコの指揮者からは聴けない自然に対する感性指揮 小林研一郎 演奏 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
第1楽章は中庸か少し遅い程度のテンポでじっくり演奏しています。丁寧な演奏でチェコ・フィルの特に弦楽セクションの美点を活かしています。時にテヌート気味になるのは日本人指揮者の特徴ですかね。それも含めてチェコフィルにコバケンの音楽を植え付けています。 密度の濃い充実した熱演 です。
第2楽章は音量を小さくし過ぎず、ふくよかとも違いますが、コール・アングレや木管群から自然な響きを引き出しています。チェコ人と日本人は自然に対する感覚が近い、と思います。後半は味わいが濃くなってきて、チェコフィルから「わびさび」を引き出しています。第4楽章は 遅く余裕のあるテンポ取りでスケールの大きな音楽を作り出しています 。ここまで遅くてスケールが大きい演奏は、他にはあまりなく後半は濃厚な味わいがあり、終盤のダイナミックさと熱量は凄いものがあります。
コバケンはチェコフィルから、かなり濃厚な味わいを引き出していて 、小澤征爾のしなやかさとはまた大分違います。やはりチェコの現地で評価が高い理由が分かります。録音はライヴだからか新しい割には少しだけ弦にザラツキがあり△位ですかね。木管は綺麗に録音できています。
ビエロフラーヴェク=チェコ・フィル チェコフィルの美点である弦の響きを堪能できる名盤!指揮 イルジー・ビエロフラーヴェク 演奏 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ビエロフラーヴェクがチェコフィルの指揮者になって、チェコフィルの 特に弦楽のクオリティはさらに向上 しました。ビロードのような弦の響き、と言われていましたが、さらに美しい響きになりました。ビエロフラーヴェクは 自然体でしなやかな音楽づくり をする指揮者です。これは若い時、NHK交響楽団に客演していたときから、ずっとそういうキャラクターです。そして円熟してきて、これが凄くチェコフィルのサウンドにあっています。
第1楽章から、自然さの中に 高級ワインでも味わっているかのような芳醇さ があります。このサウンドを聴いているだけでも、あっという間に第1楽章が終わってしまうのですが、感情もかなり入れているので、感動もあります。第2楽章も郷愁がありますが、同時に響きに品格があるところがいいところです。 コールアングレのソロも名演 です。
第3楽章はインテンポでリズムをパッチワークのようにはめ込んでいます。ここは大雑把になりやすいのですが、ビエロフラーヴェクは職人的指揮者なので、こういう所もしっかりまとめてきます。中間部はとてもしなやかです。 第4楽章は低音が効いていて迫力があります。 金管はそこまで派手には鳴らさず、 透明感を感じるほど響きのきれいな演奏で す。リズムもしっかりしていますし、迫力もあります。雑になるところがほぼ無いですね。
録音は2013年と新しく音質は素晴らしく良いです。録音会場のヌドルフィヌムの音響は、弦楽器を上手く響かせると、とても良い音がします。
ケルテス=ウィーン・フィル ウィーンフィルを活かした情熱的な名演!指揮 イシュトヴァン・ケルテス 演奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ケルテスはチェコのお隣のハンガリー出身の指揮者です。 全体的に速めのテンポで、感情を入れて熱い演奏 をしています。演奏がウィーン・フィルであることも美点で、カラヤン盤とは大分違った 古き良きウィーン・フィルの響き が味わえます。録音は1960年代ですが、音質は安定しており、ウィーン・フィルの柔らかな響きを堪能できます。
第1楽章の序奏は控えめに演奏していますが、弦セクションのフォルテは情熱的です。感情の入った劇的な演奏です。主部は速めのテンポで熱い演奏です。さらに盛り上がっていって ラストはテンポアップして激しく燃え上がります 。第2楽章は ウィーンフィルらしい柔らかな音色が素晴らしい です。コールアングレも良い演奏をしています。暖かみのある表現で、徐々に盛り上がっていき感動的です。
第3楽章は 速めのテンポで凄い熱気 です。ウィーン・フィルの響きは民族的な音楽にも良く合います。第4楽章は かなりダイナミックです。ウィーンフィルも情熱的で名演 です。これぞ『新世界』という感じの典型的なテンポ取りと、ウィーン・フィルの味わいが楽しめます。
昔から誉れ高い名盤ですが、 今でも通用する定盤的な名盤 です。レコードで聴くのもお薦めです。
セル=クリーヴランド管弦楽団 曲への理解の深さと演奏レヴェルの高さが両立指揮 ジョージ・セル 演奏 クリーヴランド管弦楽団
セルとクリーヴランド管弦楽団はドヴォルザークを得意としていました。三大交響曲は昔は定番といっていい位置づけでした。ただ最近はチェコの情緒があまり感じられないクールな演奏という位置づけでしょうか。それで、また再評価されてきたようです。他の演奏では聴けない面白さがある名盤でもあります。
第1楽章は、かなり激しい演奏です。テンポはかなり変化します。アンサンブルは全く崩れません。 感情的な要素も入っていて、実際はそこまでクールな演奏では無い ことが分かります。確かにチェコフィルに比べるとクリーヴランド管弦楽団は、技術は高いものの、あまり民族的な響きはないため、その辺りが物足りないかも知れません。第2楽章は非常に味わい深い演奏です。 しなやかでテンポは変化が大きいですが、不自然なところはありません。それだけ良く曲を理解しきっていることが感じられます。 少しウェットでドヴォルザークの心情を現すような丁寧な表現が素晴らしいです。
第3楽章はかなり速く情熱的です。この部分のリズムは意外と演奏しにくいのですが、そんなことは意にも介しません。特に トリオの民族的な舞曲は非常に素晴らしく、 ジョージ・セルはハンガリー人ですが、地理的にも近いので、リズムが身にしみついている感じです。第4楽章もかなり速いテンポです。典型的な演奏ですが軽快さがあります。 他の演奏に比べるとダイナミックさや情熱よりも、速くてテンポでスピーディ です。遅くなる個所では情緒や味わいも感じられます。
ノイマン=チェコ・フィル(1972年) ボヘミアの広々とした自然を感じさせるスケールの大きさ!指揮 ヴァーツラフ・ノイマン 演奏 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ノイマン=チェコ・フィルの1972年正規録音でドヴォルザーク交響曲全集の内の一つです。 全集はレコード・アカデミー賞を受賞 しています。 ノイマンの良い所はチェコの誇る自然を感じさせる所 です。決して感情的になりすぎることはなく、かといってわざとらしく自然さを強調することもありません。例えば、クーベリックのように感情的なアクセントはほとんどつけません。スケールの大きさを演出するためにテンポを過剰におそくしたり、ルバートをつけることもありません。それでも ボヘミアの自然を感じる のですよね。 生来染みついたテンポ感 なんでしょうね。
ノイマンの力の抜けた自然体の演奏は、オーケストラにも反映していて、金管の音がつぶれたり、木管が力んで響きが薄くなるようなことはありません。結果、 非常に芳醇な響き が生まれます。最近アンチェルのほうが人気があるようですけど、ノイマンは少し個性的ですが独特の良さがあります。
1972年盤でも十分聴ける音質ですが、ノイマンはドヴォルザークの『新世界より』や7番、8番、9番の三大交響曲の録音をとても重視していました。1980年代、1993年ライヴ(ドヴォルザーク生誕100年)、1995年ライヴのディスクがあります。それぞれが名盤です。
ノイマン=チェコ・フィル (1981年) 心を揺さぶる深みのあるダイナミックさとシリアスさ指揮 ヴァーツラフ・ノイマン 演奏 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ノイマン=チェコ・フィルは『新世界より』など、ドヴォルザークの後期の交響曲にかける思いは特別なものがあります。1972年に交響曲全集を作っていますが、今回はデジタル録音技術を使って再録音です。ノイマンの『新世界より』は1972年で演奏の既に完成度は高いのですが、単に音が良くなった以上の違いがあります。
第1楽章は 深みのあるダイナミックさとシリアスを持っています 。デジタル録音で名演を残そうという気合いが伝わってきます。またデジタル録音でアクセントのエッジが立ったシャープさがあります。単にチェコの自然を懐かしむような民族的な音楽ではない独特の厳しさがあります。第2楽章はコールアングレが遅めのテンポでじっくり演奏します。 徐々に深みを増し、感動的になっていきます 。
第3楽章は落ち着いたテンポで正確なアンサンブルです。トリオは民族的な雰囲気満点で聴き物です。 第4楽章は王道といえる演奏 です。『新世界より』の第4楽章といえばコレ、というテンポ取りです。ノイマンらしくアーティキュレーションが、丁寧につけられています。最後はダイナミックに盛り上がって充実したフィナーレです。
ノイマンの若さと円熟味が上手くバランスした名盤で、特に深みが増した と思います。
セル=チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 (1937年) 若きセルとチェコ・フィルの貴重な名盤指揮 ジョージ・セル 演奏 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
セルとチェコ・フィルの貴重な演奏です。カップリングはカザルスのチェロ協奏曲で、これも貴重な名盤です。1930年代のモノラル録音で、商業録音初期の演奏です。年代を考えると安定した録音で、若いセルの指揮ぶりと当時のチェコ・フィルのレヴェルの高いアンサンブルを聴くことが出来ます。
第1楽章は速いテンポで若さ溢れる演奏です。躊躇なくスピーディで情熱的に演奏していますが、 セルのオーケストラコントロールが素晴らしい ので、チェコ・フィルも情熱的なだけでなく、 正確なアンサンブルでクオリティの高い演奏 を繰り広げています。第2楽章は落ち着いたテンポで、 コールアングレのソロは流麗 です。セルはチェコ出身の指揮者ですが、民族的な響きを前面に押し出すことはなく、 洗練と情熱が上手くバランス しています。弦の響きもとても滑らかです。
第3楽章も速いテンポでリズミカルです。アンサンブルの難しさのある楽章ですが、 1930年代の演奏とは思えない位、正確なアンサンブル です。第4楽章はダイナミックに始まります。 速いテンポでとてもスリリング です。このテンポ取りはクリーヴランド管弦楽団との演奏に近いですね。若いころから自分のスタイルを貫いていることが分かります。弦のシャープさがあり、激しく盛り上がります。
ノイマン=チェコ・フィル(1995年ライヴ) ノイマン最後の『新世界』指揮 ヴァーツラフ・ノイマン 演奏 チェコ・フィルハーモニー
佐渡裕=ベルリン・ドイツ交響楽団 (2008年) 力強く重厚な響きと佐渡らしい熱い盛り上がり指揮 佐渡裕 演奏 ベルリン・ドイツ交響楽団
佐渡裕とベルリン・ドイツ交響楽団のライヴ録音です。ベルリン・ドイツ交響楽団は重厚でダイナミックな響きを持つオーケストラです。ワーグナーが得意で油絵のような響きを持っていると思います。その代わり緻密なアンサンブルは得意では無いようで、ヴァントが昔、客演したときもヴァントらしい緻密さが少ないなぁと思いました。今回、佐渡裕はオケの長所を生かして、力強く引き締まった演奏を繰り広げています。このコンビのCDはいくつか出ていますが、その中でも『新世界より』は名演です。
第1楽章はドイツのオケだけあって、結構低音が効いています。 ダイナミックさと共にマッシヴ(筋肉質)で引き締まった演奏 で、充実感のある演奏です。第2楽章は豊富な響きの中にコールアングレが味わい深いです。第3楽章は中間部に佐渡の個性が出ていますね。第4楽章が一番良く、ダイナミックで情熱的に盛り上がります。
全体的に重厚さを活かしていることと、アンサンブルが引き締まっていて聴いていて充実感がありますね。 また録音も新しくライヴですが、低音がしっかり入っていて高音質です。ベルリンのフィルハーモニーでの録音ですが、ベルリンフィルとのキャラクターの違いに驚かされますね。
フリッチャイ=ベルリン・フィル (1959年) 強力なベルリンフィルと情熱的で燃え上がる名演指揮 フェレンツ・フリッチャイ 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
名盤の誉れ高いフリッチャイの『新世界より』 です。このディスクではフリッチャイは手兵ベルリン放送交響楽団ではなく、ベルリンフィルを指揮し、『新世界より』の熱演を繰り広げています。やはりベルリンフィルはスケールもありますし、非常に響きが綺麗です。
第1楽章はシャープさのある演奏で、ベルリンフィルの金管を良く鳴らしていて凄い熱気です。一方、弱音の個所、歌う所などはテンポを緩めてじっくり聴かせてくれます。1959年と少し古い録音ですが、良い音質です。第2楽章は遅いテンポでじっくり聴かせてくれます。ここでは少し録音の古さを感じます。どうも再弱音がこもり気味になっている気がします。録音の問題はありますが、非常に感動的で味わい深いです。
第3楽章は速いテンポの情熱的な演奏です。ベルリンフィルのアンサンブルも完璧です。 第4楽章の金管がシャープな演奏で始まります。弦も情熱的に盛り上がります。 テンポ取りが自由ですね。スケールの大きさも感じさせます。終盤の燃え上がるように盛り上がります。
ベルリンフィルの場合、クーベリックとのドヴォルザーク交響曲全集があり、これが物凄く情熱的なのです。どちらも名演ですが、クーベリックと比べるとフリッチャイは基本がしっかりした演奏、という感があります。
フルシャ=バンベルク交響楽団 (2018年) 2018年録音の高音質、小気味良い名演指揮 ヤクブ・フルシャ 演奏 バンベルク交響楽団
ヤクブ・フルシャは新進気鋭の指揮者でバンベルク交響楽団と録音を残しています。ただ、『新世界より』はなかなか良い演奏ではあるのですが、並みいる重鎮に囲まれて厳しい争いですね。このページでここまで紹介してきたディスクは相当レヴェルの高い名盤ばかりです。
フルシャの演奏は普通に良い演奏 で、コンサートでこの演奏だったらかなり高評価だと思います。さらに2018年録音でとても音質が良いです。バンベルク交響楽団はパワーが少し弱いですが、小気味良い演奏で好感が持てます。バンベルクは地図で見るとチェコに近いこともあり、響きがチェコのオケに近い部分もあります。第2楽章のコールアングレや木管楽器群は、チェコフィルに似た味わいがあります。
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演奏の映像(DVD,Blu-Ray,プライムビデオ,他)
アバド=ベルリン・フィル指揮 クラウディオ・アバド 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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楽譜
ミニチュア・スコアNo.36 ドヴォルザーク 新世界交響曲 (Kleine Partitur)
OGT-2140 ドヴォルジャーク 交響曲第9番 ホ短調作品95 新世界より (Ongaku no tomo miniature scores)
スコア ドヴォルジャーク:交響曲 第9番 ホ短調 《新世界から》作品95 (zen-on score)
大型スコアドヴォルザーク: 交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」/ブライトコップ & ヘルテル社/指揮者用大型スコア
ドヴォルジャーク: 交響曲 第8番 ト長調 Op.88、第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」/ドーヴァー社/大型スコア
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