きつね【狐】
《2020年最新》きつね【狐】 の数え方や単位についてコンパクトに紹介。日本数え方単位協会による公式情報です。
①イヌ科の哺乳類。体長七〇センチメートルくらい。体は細く、尾は太くて長く房状。口が突き出て、耳は三角形で大きく先がとがる。毛色はふつう橙褐色だが、赤、黒、銀、十字の四色相がある。夜行性で、ネズミやウサギなどの小動物を捕食し、巣穴は自分でも掘るがアナグマの巣などを利用することもある。古くから狐火や狐つきなど説話や迷信が多く、稲荷神の使いなど霊獣ともされ、また、ずる賢い性質で、人をだますなどともいわれる。皮は毛が厚く美しいので、えり巻きや敷物などにする。ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布し、日本では各地の低山や草原に単独または一対ですむ。あかぎつね。きつ。とうめ。きつに。おこんさん。学名はVulpes vulpes 《季・冬》
*霊異記〔810〜824〕上・二「即ち彼の犬の子、家室を咋(く)は将(む)として追ひて吠ゆ。即ち驚き澡(お)ぢ恐り、野干(やかに)と成りて籬の上に登りて居り。〈略〉故(かれ)、夫の語に随ひて来り寐き。故、名づけて岐都禰(キツネ)といふ」 *十巻本和名類聚抄〔934頃〕七「狐 考声切韻云狐〈音胡 〓豆禰〉獣名射干也」 *源氏物語〔1001〜14頃〕蓬生「もとより荒れたりし宮のうち、いとどきつねのすみかになりて」 *観智院本類聚名義抄〔1241〕「狐 キツネ 野干 クツネ」 *虎明本狂言・釣狐〔室町末〜近世初〕「わかれの後になくきつね、なくきつね、こんくゎいの、なみだなるらん」 *俳諧・蕪村句集〔1784〕春「公達に狐化たり宵の春」 *滑稽本・七偏人〔1857〜63〕五・中「たかが野干(キツネ)か狸の所為だから恐る事アねへ」
(イ)うそつき。また、悪賢い人。ずるい人。 *源氏物語〔1001〜14頃〕夕顔「げにいづれかきつねなるらんな、ただはかられ給へかし」 *歌舞伎・筑紫巷談浪白縫(黒田騒動)〔1875〕序幕「まだ其頃は私も手に鉄砲は持ちながら、内にかけたる熊の胆の、看板ばかりで内証は、山に縁ある狐(キツネ)を渡世に側中化してぶったくり」
(ロ)口先上手に人にとりいる者。こびへつらう人。 *俚言集覧〔1797頃〕「狐 佞媚を云」
(ハ)(化粧をして男をたぶらかすというところから)芸妓、娼妓、遊女、女郎をののしっていう。 *評判記・そぞろ物語〔1641〕「江戸よし原のわか狐に、まよはぬ人あるヘからず」 *浄瑠璃・心中天の網島〔1720〕上「エエ腹の立。二年といふ物ばかされた。根性くさりのきつねめ」 *雑俳・柳多留‐二九〔1800〕「狸寐入りを狐来てゆり起し」
④「きつねつき(狐憑)」の略。 *俳諧・新花摘〔1784〕「麦秋や狐ののかぬ小百姓〈蕪村〉」 *西洋道中膝栗毛〔1870〜76〕〈仮名垣魯文〉一一・上「此狐(キツネ)は修験者が傍で祈祷をするのだからなかなか一と通りじゃア放れめへ」
⑤狂言に用いる面の一つ。狐の顔にこしらえたもので、「釣狐」に使用し、その面の下に白蔵主(はくぞうす)の面をつけられるようにしてある。 *わらんべ草〔1660〕四「一狐 是は、狐をそばに置、うたせ申候」
⑧「きつねけん(狐拳)」の略。 *洒落本・青楼五雁金〔1788〕一「『サア一つけんいこう』〈略〉『きつねでいこう』」 *滑稽本・八笑人〔1820〜49〕二・下「『そんなら拳でやるがいい』『よからうよからう。狐でいくべヱ』」 *滑稽本・七偏人〔1857〜63〕二・中「本拳か狐か」
⑨「きつねちょぼいち」の略。 *歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)〔1859〕五立返し「此間化(ばか)されました狐の穴を埋るのでござります」 *落語・今戸の狐〔1892〕〈三代目三遊亭円遊〉「幾ら隠したって確(ちゃん)と狐の出来る事は知ってる素人だから狐位ゐの者だらう」
⑪「きつねうどん(狐饂飩)」「きつねそば(狐蕎麦)」の略。 *商業符牒袖宝〔1884〕うどんや「あぶらげ入ヲ、いなり、きつね」 *大阪の話〔1934〕〈藤沢桓夫〉三「みんなにもあとできつねでも取ってやり」
⑫チガヤの穂が伸びて絮(わた)となったもの。つばな。 *俳諧・懐子〔1660〕一〇・上「狐の多き芝原の中〈松安〉 たくる迄ぬかぬつばなのほいなしや〈春可〉」