「男もすなる日記」(門出)『土佐日記』テスト対策&練習問題
【元予備校講師、進学校教員がテスト対策!】『土佐日記』“門出”「男もすなる日記」のテスト対策を6ステップで図解付きにナビ。読むだけでテスト前に準備すべきことがスムーズに身につく!
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。 それの年の十二月の二十日あまり一日の日の戌の時に、門出す。そのよし、いささかに物に書きつく。 ある人、県の四年五年はてて、例の事どもみなし終へて、解由など取りて、住む館たちより出でて、船に乗るべき所へ渡る。かれこれ、知る知らぬ、送りす。年ごろよくくらべつる人々なむ、別れ難く思ひて、日しきりにとかくしつつののしるうちに、夜更けぬ。(『土佐日記』より)
読みで問われやすい語- それの年の 十二月 の二十日あまり 一日 の日の 戌 の時に、門出す。
- ある人、 県 の四年五年はてて、例の事どもみなし終へて、 解由 など取りて、住む館たちより出でて、船に乗るべき所へ渡る。
「土佐日記」 は 平安 日記文学の先駆け であり、 紀貫之 という古今和歌集の撰者の一人が書いた、 土佐国(高知県)での国司の任期を終え、都に戻るまでの旅日記です 。当時、文字については、仮名は女性が使うものとされ、男性は「真名」つまり漢字を使うとされていました。ですが、様々な気持ちを詳細に書くには漢字よりも仮名の方が都合が良かったので、わざわざ女性のふりをして日記を書きました。というわけで、作者は 仮名を用いて日記を書くために、あえて女性のふりをする わけです。
あらすじの確認- 男が書く日記を女の私も書いてみよう
- 12月21日、午後8時ころ出発 そのことを日記に書く
- ある人(=作者)が国司の任期を終えて土佐国を出ようとする 多くの人が見送りをしてくれる
- 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり
- それの年の十二月の二十日あまり一日の日の戌の時に、門出す
- 日しきりにとかくののしるうちに、夜更けぬ
「テスト対策」では文章全体の細かい現代語訳などは載せていません。現代語訳や丁寧な文章の解説などは、以下の「読解のコツ&現代語訳」をタップしてご覧ください。また、 出題ポイントがまとまっている板書パネルは「読解のコツ&現代語訳」にあります ので、興味がある人はそちらもご覧ください。
①男もすなる日記といふものを、女もしてみんとて、するなり- この文が書かれた背景
- 「すなる」「するなり」の「なり」の違い
- 一文の訳出
男も書くとかいう日記というものを、女の私も書いてみようと思って、書くのである。
「土佐日記」は紀貫之が書いた日本初の仮名日記文学です。当時「仮名」は女性が使用するもの、男性は「真名」(=漢字)を使用するものだと考えられていました。当時も男性が日記を書くことはあったのですが、すべて漢字で記され、「記録」的な性質のようなものだったそうです。ですが、 紀貫之は「記録」だけでなく、その時感じた様々な気持ちを文章にしたい、そのためには仮名を使って書いたほうがよいと考え、仮名で日記を書くことにしました 。しかし、紀貫之も国司という立派な貴族です。世間体というものを考えた結果、女性のふりをして文章を書くことにしたのです。その「自分は女性である」ということを示すために書かれたのがこの文です。
「男も書くとかいう日記というものを、女の私も書いてみようと思って、書くのである。」
②それの年の、十二月の、二十日余り一日の日の、戌の時に門出す- 十二月の旧暦読み・月の異名
- 「戌の刻」とは何時ころか
- 十二支について
その年の、十二月二十一日午後八時頃に出発する。
「それの年」とは、「土佐日記」が書かれる前年の西暦934年のことです。 「十二月」は「しはす(しわす)」と読みます 。旧暦読みですね。これを「月の異名」といって、下の板書に乗せていますので、せめてどの月がどのように言うか、例えば「9月は長月」と答えられるようにしてください。 次に「 戌 いぬ の時」です。「戌」は 十二支 のひとつですが、十二支をすべて言えますか。
「 子・丑・寅・卯・辰・巳・ 午・未・申・酉・戌・亥 」
「 ね・うし・とら・う・たつ・み・ うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・ゐ 」
ところで、現在は一日で時計が何周しますか?もちろん2周ですね。12時間を2周して24時間、これが現在の時計です。ですが、 昔は十二支で一日を表していました。つまり干支一つあたりが2時間を表すことになる のです。例えば、「子の時」となれば、深夜0時ころ、「丑の時」は、深夜2時ころ、となるわけです。とすれば、「戌の時」は何時ころを表すことになるでしょうか。 「戌」は11番めですから、午後8時(20時)ころになるわけです 。数学が得意な人は【2(n−1)】と覚えておいてもよいでしょう。
③日しきりに、とかくしつつののしるうちに、夜ふけぬ- 「ののしる」の意味
- 「夜ふけぬ」の意味
一日中、あれこれと大騒ぎするうちに、夜が更けた。
「日しきりに」は「一日中」でよいでしょう。「とかくしつつ」は、「あれこれ」と訳します。また、 「ののしる」 はここでは 「大声で騒ぐ」 という意味です 。「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形です。よって、 「夜更けぬ」は「夜が更けた」と訳します 。
練習問題(一問一答&文法問題)
読解一問一答 5選(平安時代(935年)に紀貫之によって書かれた。)
(男も書くとかいう日記というものを、女の私も書いてみようと思って、書くのである。)
(当時、仮名文字は女性が書くものとされていたから。)
(しわす、午後8時ころ(午後7時ころ))
(一日中、あれこれと大騒ぎするうちに、夜が更けた。)
文法問題本文中の 青線 部 のもとの形(終止形)とそれぞれの文法的意味を答えなさい。
男もす ① なる 日記といふものを、女もしてみ ② む とてする ③ なり 。 それの年の十二月の二十日あまり一日の日の戌の時に、門出す。そのよし、いささかに物に書きつく。 ある人、県の四年五年はてて、例の事どもみなし終へて、解由など取りて、住む館より出でて、船に乗る ④ べき 所へ渡る。かれこれ、知る知ら ⑤ ぬ 、送りす。年ごろよくくらべ ⑥ つる 人々なむ、別れ難く思ひて、日しきりにとかくしつつののしるうちに、夜更け ⑦ ぬ 。
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